星稜の4番ショートが捕手に転向。すでに全国トップ級と指揮官も絶賛 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 今年の4月上旬に開かれた侍ジャパンU-18代表候補合宿には、奥川恭伸や山瀬とともに内山も招集された。その際、首脳陣から突然「キャッチャーをできるか?」と聞かれ、急遽紅白戦でマスクを被ることになった。

「それまで練習もしていなかったので準備に不安はありましたけど、河野(佳/広陵)さんと組ませてもらって大きなミスなくやれたのでよかったです。ブルペンでもいろんなピッチャーのボールを受けさせてもらって勉強になりました。日本代表候補になるピッチャーはコントロールが全然違います。ストレートは低めにきれいな回転でくるし、変化球も大きくブレることがない。これが代表クラスなんだなと感じました」

 現在バッテリーを組むのは、1年時から経験を積んできた荻原吟哉、寺西成騎の両右腕が中心になる。内山を含め3人とも2年前の侍ジャパンU-15代表メンバー(U15アジア選手権)のエリートだ。とくに高い潜在能力を秘めながら、なかなか殻を破れずにいる寺西が大化けするか否かで、チームの命運は変わってくる。寺西自身の奮起はもちろん、リードする内山の手腕も問われるだろう。

 そして、捕手・内山をもっとも高く評価しているのは、星稜の林和成監督なのかもしれない。林監督は「私はショートよりキャッチャーの適性があると思っています」と断言した。

「内山が高校に入学した最初の頃から、『内山はキャッチャーだ』と言っていました。山瀬がいたのでチーム事情でショートをやっていましたが、本人とは何度かミーティングして新チームからキャッチャーをやることは話していました」

 林監督が考える、捕手・内山の優れている点はどこかを聞くと、淀みなく称賛の言葉が続いた。

「山瀬ほどの肩ではないですが、捕ってからの速さとコントロールで十分補えていますし、キャッチングはピカイチだし、インサイドワークも絶妙。状況判断にも優れています。総合的に高いレベルにあるので、キャッチャーとして全国トップクラスでしょう」

 林監督の言葉からは、内山が捕手として必要なものすべてを持っているという自信と信頼がうかがえた。

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