日本と違うアジアの高校野球。WBSCU-18の注目選手を取り巻くすごい環境 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

昨年のU-18アジア大会でも活躍した台湾の王彥程昨年のU-18アジア大会でも活躍した台湾の王彥程 一方の台湾も、まず「全国高校野球リーグ」というリーグ戦が1月から3月にかけて行なわれ、そのあとにトーナメント制の全国大会が開催される。以下が主要な3大会だ。

王貞治杯(5月)

玉山杯(5~6月)

黒豹杯(1011月)

 玉山杯は国際大会に向けた選手選考の意味合いが強い。たとえば、昨年のU18のアジア選手権には玉山杯で優勝した高苑商工のメンバーが主体となり、今年は穀保家商が優勝したため、ワールドカップには監督以下、11名の選手がエントリーされている。

 また玉山杯は、予選を勝ち上がると本大会は自治体代表として出場することになり、予選で負けた学校の選手を加えられる"補強制度"がある。まさに社会人野球で開催される都市対抗の様相だ。

 さらに、日本と両国で大きく違うのがドラフトだ。日本は秋(今年は1017日)に開催されるが、韓国は2回に分かれており、1次が6~7月、2次が8月以降。台湾は7月に行なわれる。

 まず韓国だが、縁故地から1名を優先的に指名できる"1次"と、通常のウェーバー制による"2次"に分けられる。1次は1選手のみの指名のため、告知発表だけと簡素なものだが、2次はソウル市内のホテルで行なわれ、指名対象となる選手を招集して、指名が確定すればステージ上でユニフォームに着替え、チーム関係者と写真撮影するなど、ショー的な要素が強くなっている。

 今回の代表メンバーのなかにも、1次で6人、2次で11人がドラフトで指名されている。なかでも注目は、KTウィズから2次・1位で指名されたソ・ヒョンジュン。188センチ、90キロの大型右腕で、黄金獅子旗杯では最速152キロの速球を武器にチームを優勝に導き、MVPを獲得した。今年の韓国の高校生のなかでは最も完成度が高いと言われており、ワールドカップでどんなピッチングをするのか見ものだ。

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