ひょんなことからNZでプロ野球選手に
なった25歳。NPB入りの夢を追う

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

 その後、オーストラリアへの遠征中、2度目の出番が巡ってきたのだが、この試合でランナーに足を払われケガをしてしまった。チームには次のシリーズまで帯同したが、そこでニュージーランドに戻るよう告げられた。結局、金子の「プロ野球選手生活」は2カ月ほどで終わった。2試合に出場して5打数0安打、3三振という成績だった。

 失意のうちにオークランドに戻った金子だったが、またしても幸運が転がり込んできた。選手をトゥアタラに派遣していたロッテから、投手コーチの清水直行も現地に来ており、清水はオークランドで金子を見ると、歩み寄って声をかけた。

「独立リーグのトライアウトを受けてみたらどうだ?」

 ロッテの二軍球場で年明けの2月に行なわれる四国アイランドリーグplusのトライアウトを勧められた。また、唐川侑己が行なう自主トレのパートナーの仕事も斡旋してもらい、しっかり体をつくることができた。その甲斐あって、見事トライアウトに合格した。

 つい半年前までニュージーランドで「自分探し」をしていた金子が、ちょっとしたことがきっかけとなって、NPB入りという目標を持つようになった。

 いま金子は、高知で汗にまみれている。25歳という年齢も承知のうえで、NPBに行くことを本気で考えている。

「清水さんに勧められて、チャンスがあるんだったらという気持ちでトライアウトを受けて、なんとかプレーさせてもらっています。もっとスカウトにアピールしたいのですが、前期シーズンは不甲斐ない成績に終わってしまいました。でも今は、NPBという明確な目標があるので、そこに向かって何をすべきかが一番大事で、結果はダメだったとしても次の目標をつくればいいだけなので......」

 8月20日時点での成績は、43試合に出場して打率.139。正直、ドラフトは厳しいだろう。それでも、プレーするのは来年までと自覚しながら、今できることを精一杯やるだけと前を見る。

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