星稜・奥川恭伸vs履正社打線。
打者有利の夏に新たな伝説は生まれるか

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 星稜は「奥川なら抑えてくれる」と思うのではなく、3失点程度は想定内にしておくことが必要になるだろう。言い換えれば、攻撃陣がいかにして3点以上を取れるかになる。

 幸い、星稜の打撃陣は好調だ。初戦の旭川大高戦は9安打1点、3回戦の智弁和歌山戦でも13回まで9安打1点と拙攻が目立ったが、智弁和歌山戦で孤軍奮闘した奥川が登板回避した準々決勝の仙台育英戦で22安打17得点と目覚めた。準決勝の中京学院大中京戦も11安打9得点で奥川を7回87球で交代させることができた。

 智弁和歌山戦は石川大会無安打だった福本陽生(はるお)がサヨナラ3ラン、仙台育英戦は甲子園初スタメンの今井秀輔が満塁本塁打を含む7打点、中京学院大中京戦では主将の山瀬慎之助が3安打3打点と日替わりヒーローが誕生している。

 履正社の投手陣は、ともに140キロ超の速球を持つ左腕の清水大成、右腕の岩崎峻典(しゅんすけ)の二枚看板。準々決勝は清水が関東一を6安打、準決勝は岩崎が明石商を6安打に抑えて完投したが、今大会、清水は29回を投げて被安打27、岩崎は16回で被安打18と決して本調子ではない。清水はスライダー、岩崎はカットボールが武器。これらの低めのボールになる球を星稜打線がしっかり見極めることができるかどうか。これが3点以上取れるかどうかのカギになるだろう。

 昨夏、春夏連覇した大阪桐蔭を北大阪大会準決勝で「あと1アウト」まで追い詰めながら涙を呑んだ履正社が、大阪勢2連覇を達成するのか。それとも、星稜が夏の甲子園での北陸勢初優勝を果たすのか。令和初の王者を決める決勝戦は8月22日、14時にプレーボールする。

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