あの夏から12年。不器用なエースは監督となり「がばい旋風」を起こす (3ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • photo by Kaku Keisuke

 川崎は準々決勝を除く4試合をひとりで投げきり、また守備陣も大会を通じて2失策と抜群の安定感でエースを盛り立てた。

 紆余曲折を経て、"がばい旋風"再来への態勢は整った。久保は言う。

「負けてもおかしくないゲームを乗り越えていくたびに、『あぁ、オレたちの時もこうだったよな』と」

 百崎は久保が指揮を執る佐賀北に、こう期待を込める。

「『あとひとつ』という局面で、どれだけのドラマが生まれるかを経験上知っている子たちですから。期待したいですね」

 2007年以降、夏の甲子園で4勝11敗と大きく負け越している佐賀県勢だが、全国の頂点を知る新世代の指揮官によってこの状況を打破できるのか。

 生まれ変わった佐賀北は、全国制覇したあの夏と同じ、開幕日に初戦を迎える。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る