101回大会展望。強打の東海大相模、奥川擁する星稜、近畿勢らが軸 (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masatakaphoto by Ohtomo Yoshiyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 昨夏ベスト8のメンバー6人が残る近江(滋賀)も実力者が並ぶ。エース左腕の林優樹は滋賀大会26イニングで30奪三振、無失点と圧巻の投球を披露。守備も滋賀大会5試合で無失策と堅実だ。

 打線は、昨夏の甲子園で大会史上最高打率となる.769をマークした住谷湧也、昨年からレギュラーを張る2年生の土田龍空(りゅうく)、4番の有馬諒らの経験者が牽引する。

 今春センバツ4強で3季連続甲子園出場の明石商も上位進出を狙う。2年生エース・中森俊介は兵庫大会決勝で自己最速となる149キロをマーク。チェンジアップ、スプリットと縦の変化球に自信を持ち、大崩れしない。センバツでは準決勝までの4試合のうち、中森以外の投手はわずか3回1/3しか投げられずにエースに負担をかけた。兵庫大会で中森以上のイニングを投げた左腕の杉戸理斗(りと)がどこまで中森をサポートできるのかがカギとなる。

 打線は兵庫大会7試合で44四死球としぶとく、犠打を多用する。センバツ準々決勝で甲子園史上初となる先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打を放った来田涼斗が乗ると、チームに勢いが出る。

 夏の大会で北陸勢初の優勝を狙う星稜(石川)も優勝候補の一角だ。"BIG4"のなかで唯一勝ち残ったエース・奥川恭伸(やすのぶ)は、150キロを超えるストレート、スライダー、スプリットを武器に石川大会でK/BB13.3)をマークするなど、今秋のドラフト1位候補の実力を見せた。

※K/BBとは奪三振と与四球の比率で、投手の制球力を示す指標のひとつで、MLBでは5を超えれば優秀と言われている

 上位進出を目指すには、2番手以降の投手陣がカギとなる。昨夏、史上初となる逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びた左腕の寺沢孝多をはじめ、荻原吟哉、寺西成騎らの奮起に期待したい。

 打線はU-18代表候補の山瀬慎之助、昨夏1年生でクリーンアップを任された内山壮真、石川大会決勝で満塁本塁打の東海林航介ら経験豊富な打者が揃う。

 課題は自滅の多さ。昨夏は済美を相手に6点リードしながら奥川、内山らが熱中症で途中交代して逆転負け。昨秋の神宮大会、今春のセンバツともに走者を二塁に置いた場面で、内野手が打球に追いつきながらも止められずに失点したのが決勝点になった。どんな場面でもやるべきことをしっかりできるかがポイントになりそうだ。

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