佐々木朗希が刺激を受けたチームメイト
2人の「自分なりのピッチング」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 この日、報道陣から体の状態を聞かれて「半分以上は回復していると思います」と語った佐々木。さらにもう1日休養日が入ることで、準決勝の一関工戦はさらに万全な状態に近づくに違いない。とはいえ準決勝と決勝も連戦になるだけに、大和田と和田の起用は今後も大事なカギを握りそうだ。

 また、久慈の柴田監督が語ったように、佐々木のような突出した存在に依存するばかりではなく、複数の好投手を育て上げた國保監督の手腕も見事と言うほかない。

---- 公式戦で起用できる複数の投手を育成するために、重要なポイントはどんなところでしょうか?

 久慈戦の試合後、國保監督にそう尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「心の炎が消えないようにすることです。『あいつのほうがすごいから......』と自分のことをあきらめてしまうと、なかなか成長しないので。なんとかモチベーションを保つこと。技術の前に、まずそこだと思います」

 てっきり技術的な答えが返ってくると思っていただけに、意外な言葉だった。

 この日、間違いなく大和田と和田のマウンド姿には「心の炎」が灯っていた。そして、その熱は間違いなく野手陣に伝播した。本来なら3番を打つ今野聡太を足の故障で欠き、4番の佐々木も欠場。そんな「飛車角落ち」の打線も、勝負強さを発揮して投手陣を援護した。

 この久慈戦を通して、大船渡の選手たちは「大船渡は朗希だけのチームじゃない」と雄弁に語った。そして、それは次なる戦いに向けて大きな自信になるに違いない。

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