2019.07.23

佐々木朗希が刺激を受けたチームメイト
2人の「自分なりのピッチング」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

大和田健人のあと、2番手で登板し4イニングを無失点に抑えた大船渡の和田吟太 和田には期する思いがあった。

「朗希が投げない時にいつも負けていたので。自分たちが投げる時は負けないようにしたいと思っていました。春の県大会(釜石戦)も、僕が初回に失点して負けているので……」

 和田は大和田ほどではないとはいえ、身長172センチ、体重60キロとやはり投手としては小柄である。佐々木とは大船渡一中時代からのチームメイトだ。中学時代は故障を抱えていた佐々木に代わり、背番号1を背負ったのが和田だった。

「ダイコウ(大船渡高校)にはもとから行くだろうとは思っていたんですけど、朗希と(三上)陽暉と『推薦で入ったら?』と軽い感じで話していて、それで行こうと思いました」

 常に身近に怪物がいるというのは、どんな気分なのだろうか。多少なりとも才能に嫉妬することも、コンプレックスを刺激されることもあるに違いない。そして和田は、高校入学後に國保監督からこんなアドバイスを受けている。

「朗希とお前は違う。お前はお前なりのピッチングをしろよ」

 佐々木に対抗しようと思ったことはない。だが、和田は佐々木と出会ったことで、かえって自分の生きる道を見つけたという。

「朗希はボールが速い分、朗希なりのピッチングがあると思うんです。でも僕はボールが速くないので、コントロールで攻めて打ち取りたいんです」

 和田に限らず、大和田もサイドスロー右腕の柴田貴広も、小柄な2年生左腕の前川眞人も、大船渡の投手陣は佐々木という巨大な存在を知ったことで、「自分なりのピッチングを見つけ出して、抑えられるようにしていく」(和田)と言う。

 また、佐々木目当ての県内外の強豪と練習試合をする機会が増えたことも、投手陣の底上げに一役買っていると和田は証言する。

「強豪はスイングが全然違います。そんな打者と対戦することで、どう抑えていくかイメージがついてきたと思います」

 久慈戦で好投した大和田、和田のピッチングを見て、佐々木は試合後にこんな感想を語っている。

「ピンチでもしっかりとストライクをとって、強気のピッチングをしてくれたのが一番大きかったと思います」