神前俊彦63歳。高校野球に
憑りつかれた男が目指す2度目の甲子園

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Tanigami Shiro

 そして2回戦の相手は西舞鶴。ここも公立校ながら、春の大会で実力校と大接戦を演じるなど一発を秘めるチームだったが、4対1で勝利。初戦に続き、この試合も3人の投手でつなぎ、最後は1年生で締めるという大胆起用が的中した。

 2試合とも安打数では相手を下回ったが、犠打は初戦で7個、2回戦で5個をきっちり決め、守りもノーエラー。余計なことはせず、やるべきことをしっかり果たした結果だった。

 3回戦は7月20日の第1試合、相手は公立校の洛東だ。

「できることをきっちりやって、余計なことをしない。ここをやりきった時、何が起こるか......ですね」

 神前が挑む24回目の夏は、いよいよ佳境に入ってくる。

24回目ということは、23回負けてきたということ。でも、だからと言って次負けるとは限らないのがこの世界やからね。あの夏も、春夏連覇を狙っていたPLを春日丘が倒すなんて誰が思っていたか。面白くも厄介な、高校野球とはそういうものなんですよ」

"夏のある夏"を過ごしている幸せを噛みしめながら、63歳の職業監督はただ勝つことだけを信じ、京都を戦い抜く。

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