因縁の「箕面学園vs.履正社」は監督歴30年超の同年代対決! (5ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 履正社との決戦に向け話をしていると、田中の北陽時代の恩師である松岡英孝の話題になった。

「昔、松岡さんが『PLとやる時が最も楽や』と言っていたのですが、その意味が最近ちょっとわかるようになってきたんです。当時の北陽にとって、PLは唯一、負けてもいいじゃないですけど、負けが許される相手だったんです。だからこそ、思い切って向かっていくことができた。それが"楽"ということだったんだろうと。負けてもいいから思い切っていこう、三振してもいいから思い切り振っていこう......そういうのは相手からすれば一番怖いですからね」

 その話を聞くと、「ならば......」と思った。履正社と箕面学園の力関係を考えれば、いくら春の大会で準優勝を果たしたとはいえ、全国屈指の強豪校に挑むという構図になる。だからこそ、箕面学園にとっては失うものなどなく、無心で向かっていける相手である。

「僕は試合をした相手に、ウチのチームの印象を聞くんです。『どうやった?』と。それで今年は『負けにくいチームですね』という答えが多かった。そこを目指してきたチームなので、ちょっとは練習をやってきた甲斐があったかなと思っているんです。だから20日の試合も、ウチとすれば厳しいゲームになってほしい。勝っていても、負けていても、2点差以内で終盤を迎えられるような展開になれば......。そのためにも、構えず、力まず、淡々とできることをやる。ウチはそれしかありません」

 ともに監督歴30年を超える同級生同士の戦いは、果たしてどんな結末になるのか。履正社の優位は動かないだろうが、劇的なドラマの予感はわずかながら漂っている。

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