因縁の「箕面学園vs.履正社」は監督歴30年超の同年代対決! (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

2012年秋に準々決勝で履正社と公式戦で初めて対戦したんです。その時、履正社のノックを見ながら部長に『こういう内野手を揃えてほしい。そうしたらオレも勝負できる』って(笑)。半分は冗談ですけど、半分は本気です」

 新チームがスタートすると、田中は選手にルールや野球のセオリーを教える。そして日々の練習では、気持ちの持ちかたと基本の大切さを徹底して説く。たとえば、こんな感じだ。

「最初から負け犬になるな。中学の時に、向こうは日本代表で、こっちは補欠であっても関係ない。大阪桐蔭の選手がレフトにクリーンヒットを放つのも、お前らがサード前にボテボテの内野安打を放つもの同じヒットや。早くそう思えるようになれ!」

「投手がしっかりストライクを投げて、バントと守備ができて、塁間をしっかり投げることができたらベスト8にいける。ホームランを打てとは言わん。できることをどこまでしっかりできるかやぞ!」

 今年春の結果は、これまで取り組んできたことが間違いではなかったことを証明できたという点でも大きかった。その後、練習試合で勝てない時期もあったが、最後にもう一度基本に立ち返り、夏の大会に入った。

 初戦は都島工業に5対2。エースの石井が完投した。2回戦は野崎に10対0(5回コールド)と勝利。石井と同じ2年生の瀬崎孝太が、5回をひとりで投げた。

 一方の履正社は、初戦(2回戦)の池田戦で22対3(5回コールド)と大勝。4本の本塁打が飛び出すなど、猛打を見せつけた。ただ、田中はこう語る。

「最近は、相手チームのデータや映像を見たりすることはないんです。それよりも当日、自分の目で見て、感じたことを大切にしたい。先入観に左右されるより、自分を信じ、感じたものを選手に伝えていきたいと思っています」

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