因縁の「箕面学園vs.履正社」は
監督歴30年超の同年代対決!

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

「当時はウチも履正社も(専用)グラウンドがなくて、どちらも週に1回程度、伊丹のスポーツセンターや鳴尾浜の球場を借りて練習をやっていたんです。そこで岡田とも『今度の水曜日、ウチは(グラウンドを)取れんかったけど、そっちが取っているなら練習試合をやらんか?』と言いながら、よくやっていましたね」

 大阪・茨木市の外れにある緑に囲まれた練習グラウンド。バックネット裏で、時折、電子タバコをくわえながら楽しげに語るのは、箕面(みのお)学園の監督である田中祥雄だ。その田中が言う岡田とは、履正社監督の岡田龍生である。ふたりは1961年生まれで、ともに監督生活は30年を超える。

30年以上にわたり箕面学園を指導している田中祥雄監督(写真右)30年以上にわたり箕面学園を指導している田中祥雄監督(写真右)「公立にはもっと長くやっている指導者の方がいるかもしれないですが、大阪の私立の監督では僕と岡田が最長でしょうね。夏の大会はどちらも87年が最初ですが、僕は前年の秋から監督をさせてもらっているので、その分、岡田よりはちょっと長いはずです。指導歴の長さでは勝っているのですがね(笑)」

 今ではともに立派な専用グラウンドを持ち、練習試合をするなど交流は続いている。そんな両校が、7月20日に大阪大会3回戦で激突する。ちなみに、夏の舞台での対戦はこれが初めてだ。

 箕面学園が2回戦に勝利した翌日、グラウンドを訪ね、田中に履正社と戦うことについて感想を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「当たるなら、もう少しあとで当たりたかったというのはあります」

 技術も経験もあり、屈指の強豪校となった履正社。本調子になる前に対戦したほうがいいという考えもあると思うのだが、田中は否定した。

「いや、戦っていくうちに調子が出てくるのはウチも同じ。相手どうこうより、自分たちのチームのことを考えてです」

 今年の春、箕面学園は見事な戦いを見せた。一戦ごとにしぶとさを増すと、準々決勝で上宮太子、準決勝でも大体大浪商といった実力校に勝利。決勝で大商大高に敗れたが、田中が「長くやっていたら、たまにはええこともありますね」と言う快進撃だった。

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