2019.07.16

広島新庄のエースは本格派右腕。
「左でなければ」のジンクスを破るか

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

 春から夏にかけてもスケールアップし、2年夏に最速148キロをマーク。しかし、決勝敗退の雪辱を期して臨んだ秋は、その速球が影を潜めていた。春、夏とフル回転するなかで蓄積した疲労から、右肘に違和感を覚えていたのだ。

 入学以来意識してきた「キレとコントロール」と投球術を武器に、4強まで勝ち進んだが、準決勝で夏に続いて広陵に敗戦。翌週の3位決定戦も落とし、センバツの重要な参考材料となる中国大会の出場を逃した。

 足踏みの期間はあったものの、ひと冬越えて、右ひじの不安も一掃。今春の県大会の時点で球速も146キロまで戻し、6月に行なわれた大阪桐蔭との招待試合では、自己最速タイの148キロをマークするなど、完全復調と言える状態に戻ってきた。 

 センバツで150キロを記録した河野佳(広陵)、練習試合で152キロを投じた谷岡楓太(ふうた/武田)の同県のライバル2人とともに、「夏の大会での150キロ超え」も期待されるが、桑田本人の意識はどうなのか。

「野球を続けていくなかで、将来的に150キロを投げたいとは思っています。でも、この夏無理にその数字を追い求めようとは思いません。それよりも、監督から教えられてきたキレとコントロール、2年生の頃から意識してきた、野手が守りやすいテンポを大切にしていきたいと思います。野手と一丸になって、全員でアウトを取るピッチングをしたい。それが一番見ている人をワクワクさせるピッチングとも思うので」

 春の広島大会終了後、試合用のグラブを新調した。田中将大(ヤンキース)が使用している型のグラブを、この夏は使う予定だ。”令和の怪物”佐々木朗希(大船渡/岩手)も同じモデルを使っているため、「対抗意識はあるか?」と投げかけると、こう答えが返ってきた。

「ないです、全然ないです(笑)。レベルが違いすぎて……あっちが断然上なんで。意識とかはまったく」

 終始控えめで、ともすれば「投手らしくない」ようにも思える桑田だが、グッと目に力が宿った場面があった。それが”ジンクス”と”宿敵”について話を向けたときだった。