2019.07.16

自動車教習所の教官が選手。梅田学園の
奮闘に都市対抗の面白さを感じた

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

シティライト岡山戦で本塁打を放った梅田学園のベテラン選手・堤喜昭「応援席がすごく埋まっていたのでビックリしました。『これだけ応援してくれる人がいたんだな……』と実感しました」

 そう語ったのは、入社13年目の堤喜昭である。創部2年目に入社し、在籍年数はチームトップのベテラン内野手だ。本業では普通車、準中型車、中型車、普通自動二輪の指導員資格を持つ。来年1月には技能検定員の資格試験を受ける予定だという。

「入社当時は『都市対抗に出る!』と言っていても、口だけでイメージは全然湧いていませんでしたから。九州の予選に出ても、いつもコールド負けで帰っていたので」

 堤は爽やかな笑顔をたたえて、そう振り返る。社業と野球の両立は心身ともに負担のかかることだった。試合に行けば、胸の「うめだがくえん」という平仮名のロゴマークを見た相手選手から「学生かな?」と勘違いされることもしばしば。入社10年目にはチーム状態が不安定で、「年下のヤツも増えてきたし、どうしようかな……」と現役続行揺らいだ時期もあった。

 そんな苦労をくぐり抜けての都市対抗出場である。堤にとってはHonda熊本の補強選手として出場した2017年以来の東京ドームだったが、「Honda熊本もよかったですが、やっぱり自分のチームで出る都市対抗は格別ですね」と雰囲気をかみ締めた。

 初出場チーム同士の対戦になったシティライト岡山(岡山市)との一戦は、追いつ追われつの熱戦になった。梅田学園は2対4と2点ビハインドを許した6回裏、先頭打者として4番・堤が打席に入った。

「流れをどうにか変えたいと思った」という堤は1ボールから甘く入った変化球をとらえ、ライトスタンドへと消えるホームランを放った。一塁側のベンチ、スタンドは総立ちとなり、堤のホームランに快哉を叫んだ。堤はその熱狂に酔いしれた。

「もう一生にあるかないか……ということなので。いつもよりゆっくりとベースを回りましたよ」