青年監督がシティライト岡山で初快挙。
それでも「監督に向いてない」

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

 さらに今春入社した左腕・久保田大智、福岡大時代にプロも注目していた本格派右腕・馬場康一郎にも使える目途が立ち、先発、リリーフ双方の底上げを実現させた。

 迎えた都市対抗中国地区予選。予選リーグを突破し、決勝トーナメントへと駒を進め、JEF西日本と初戦で相まみえた。

 試合は延長14回までもつれる大熱戦となった。2点ビハインドで迎えた9回に追いついたものの、延長で決定打を欠いての敗戦。精神的なダメージも大きい内容に思えるが、桐山に焦りはなかった。

「大会が終わった今だから言えることではありますが、『この試合を落としても大丈夫』とは考えていました。敗者復活トーナメントに回ったとしても、第1戦を後藤田、第2戦(第2代表決定戦)を児山先発で十分戦えると踏んでいたんです。もちろん、JEF戦も勝ちを狙った上で、どちらに転んでも大丈夫だと心構えを持っていました」

 敗者復活トーナメント初戦ではJR西日本を3-2で退け、第2代表決定戦に進出。三菱重工広島との大一番では、児山が粘りの完投勝利で桐山の期待に応えてみせた。優勝決定の瞬間をこう振り返る。

「9回も二死一、二塁のピンチを迎えていて、最後の最後までわからない状況でした。最後のアウトの瞬間はホッとした気持ちが強かったです。選手時代も第2代表決定戦で重工に負けていて、公式戦で勝てたのは今回が初めて。選手たちには本当に感謝しています」

 そして、こう続けた。

「今季に向けて動き出したときは野手のチームと思っているなかで、投手陣が急成長してくれました。それだけでなく、控えの野手たちも本当によくがんばってくれました。代打、代走で残してくれた結果があったから勝てたと思っています。(延長14回の)JFE戦は、ベンチの選手を使い切って、審判の方から『こんなに使って大丈夫か?』と心配されたくらい(苦笑)。全員野球でつかんだ都市対抗であることは間違いありません」

 チームを創部初の都市対抗出場に導いた桐山だが、「自分が監督をやるとはまったく思っていなかった」とも語る。

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