佐々木朗希だけじゃない。岩手の公立校の強肩強打捕手にプロも注目 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

「ついこの前、青森山田の堀田賢慎と対戦したんですけど、140キロちょっとのストレートが低めにどんどん来て、手が出ませんでした。朗希はこれより20キロも速いのか......と思うと厳しいんですけど、すべてマックスの力で攻めてくることはないですから。カウントを取りにくる球をしっかりと狙えたら、勝負できると思っています」

 お互いに決勝に残らなければ、大船渡と対戦することはない。だが、佐々木とのリアルな対戦イメージを描いていることは、本気で甲子園を狙っていることの証でもある。

 夏の大会を直前に控えた練習中、石塚の視線の先で、ノック中の石橋監督が大声で選手に指示を出していた。先ほどまで選手に冗談を飛ばしていた雰囲気から一転、グラウンドには緊張感が漂っていた。石橋監督にとっても、甲子園は秋田工時代に出場して以来、33年遠ざかっている場所である。

 最後に石橋監督への思いを聞くと、石塚はこんな心情を語ってくれた。

「怒るときはめちゃくちゃ怒るんですよ。学校でも寮でもずっと一緒ですし、何かあればすぐに言える距離にいます。夜は練習場では聞けないような話をしてくれて、いろんな知識がつきました。まあ、毎日ジョークを聞いているとちょっと......なんですけど」

 ユニークなベテラン監督と、強い思いを秘めた強打の捕手。強い引力で結ばれた師弟が、岩手の夏をかき回すかもしれない。

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