2019.07.09

佐々木朗希だけじゃない。岩手の
公立校の強肩強打捕手にプロも注目

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 石塚は入学直後から三塁手のレギュラーとなり、現在は正捕手を務める。二塁送球は1秒8台の好タイムを頻繁に計測。しかし、青森大時代にドラフト1位でプロ入りした細川亨(ロッテ)を指導している石橋監督の目は厳しい。

「細川は10回投げれば10球いいボールが投げられたけど、石塚は1球くらいじゃないですか。バッティングもボディーストップも細川には勝っているけど、送球の正確性はまだまだ。だから石塚には『育成(選手)なら2年でクビ切られるからな』と発破をかけているんだけどね」

 石塚はプロ志望である。181センチ83キロの体に、左手68キロ、右手69キロの握力。強肩強打の捕手として、ポテンシャルは高いレベルにある。

 とはいえ、打撃も守備も粗さが目につく。打撃練習では爽快な振り抜きから長打性の打球を飛ばしたと思ったら、手首をこねる悪癖が出て打ち損じのゴロも目立つ。石橋監督が指摘する送球動作の精度を含め、完成度が高いとはいえない。だが、逆にいえばプロで育てる余地が大いにあるということでもある。

 石塚は強い言葉を口にした。

「母や祖父には今までお金のかかる野球をやらせてもらって、苦労をかけてきました。でも、これからは自分が野球でお金を稼いで、ラクをさせたいんです」

 自分の未来を切り拓くためにも、この夏は重要な意味を持つ。そして初戦の相手はいきなり強豪・専大北上である。

「これまで何度も対戦している相手なので、今までのデータを集約して長打を打たれないようにします。とくにバッティングのいいチームなので、配球を考えないと。春にケガしていたピッチャーも戻ってきたし、いい変化球を持っているピッチャーもいるので抑える自信はあります」

 今夏の岩手は怪物・佐々木朗希を擁する大船渡が全国的に注目を集めている。同じ岩手の県立高校のドラフト候補として、石塚はこれまでメディアから何度となく「佐々木くんを打つ自信はある?」と聞かれ、そのたびに「速球なら自信があります」と答えてきた。だが、夏を直前にして心境の変化があったという。