甲子園劇的ミラクル弾の男が監督に。佐賀北スタイルで再び奇跡に挑む (4ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • photo by Kaku Keisuke

「前田はチームで一番賢い。見る目もあり、理解力、影響力もある。目配り、気配りが申し分なく、あいつの言うことは主将より影響力がある。それこそ、僕が求めるマネージャー像なんです。まさに佐賀北時代の真崎貴史(現・杵島商監督)の姿ですよね。僕らにとって、試合に集中できる環境を全力で整えてくれた真崎の存在がどれほど心強かったか。だから、このチームもそういう存在が必要だと思った。もう前田以上の存在はいなかった」

 まもなく、監督として初めての夏を迎える。唐津工の選手たちをどのようにリードしていくのだろうか。

「"唐津くんち"で有名な土地柄ですから、やっぱり"くんち気質"なんです。いざとなると、なんでもありというか、ブレーキが効かなくなっちゃう。なかには自分で線引きができない子もいます。ただ、それがいい方向に出ることもある。試合でもいざ火がついてしまえば、どんな相手にも臆することなく向かっていくし、あっという間にビッグイニングになることもある。そこは佐賀北とまるでカラーが違うし、面白いところでもあります」

 奇跡の夏から12年。この夏、唐津工はどんな戦いを見せてくれるのだろうか。甲子園で史上最大級のミラクルを起こした男の采配に注目したい。

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