沖水21年ぶり甲子園へ。指揮官が断言
「打倒・興南への秘策はある」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「興南を倒すのは至難の業だと思いますが、宮城(大弥/投手)くんを打ち崩すためにずっとあたためている戦い方はありますよ。こうすれば勝てる、お前たちにもできると思わせるために、ゆっくり語りかけていこうと思っています。

 僕自身も、我喜屋(優/興南の監督)さんのうしろを追い掛けても追いつけないということはわかっていますから、栽先生のやり方はマネしましたけど、我喜屋さんのやり方は一切、マネしません。山の上の椅子は1つなんです。甲子園という椅子は1つだけで、つまり僕らは椅子取りゲームをしている。山に登る道はいっぱいあって、我喜屋さんは我喜屋さんのルートで山をっているんだったら、僕は我喜屋さんとはまったく違う道をって、なんとかあの人よりも先にその椅子に座ってやろうと思っています」

 大胆細心、一心不乱。

 栽監督が大事にしてきた言葉は普遍的な価値観だとして今の選手たちに伝える一方、今や古豪と呼ばれる沖縄水産の伝統に縛られるつもりはない。あくまでも上原忠のノウハウを大事にしながら、"新生・沖水"として甲子園を目指す。それが栽弘義という野球人への、上原流の恩返しになるのだと信じて――。

(終わり)

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