豪快ここに極まれり。近大の和製ハーパーは来秋ドラ1が確実だ (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 スタンドティーは近年吊り下げ式のティー台が流行しているが、オーソドックスなものを使用している。また、「下には打ちたくないので」と、円形の集球ポケットがついたネット目がけて低い打球を打ち込むような、いかにも日本式のティーバッティングはしないという。

 もう、自分はこれで生きていく。佐藤の特殊な打撃スタイルからは、腹を決めた男の割り切りすら感じる。本人にそんな印象を伝えると、佐藤は笑ってこう答えた。

「僕がコツコツ単打を打っても面白くないじゃないですか。長打を打ってなんぼだと思うので、いかに効率よく長打が打てるかを追い求めています」

 好きな選手はブライス・ハーパー(フィリーズ)だという。昨年オフに13年3億3000万ドル(368億円)の超大型契約を結んだ、MLB屈指の大砲である。ただ、それでも「好きなだけで、マネをすることはない」と語る。打つ以外にも、選考合宿では50メートル走の計測で610と好タイムを出したように、走攻守で活躍できる選手像が理想という考えを持っている。

 今春は関西学生リーグで2本塁打を放ち、大学5季を終えた段階でのリーグ通算本塁打は9本に達した。佐藤のスケールとスイングを目の当たりにすれば、少ないくらいに感じてしまう。佐藤は「ホームランはもうちょっと打ちたかったですけど、長打は増えているので成長は感じています」と手応えを感じている。

 まずはしっかりとヒジを治すこと。そして来年こそ、大学代表の不動の4番に君臨すること。そうすれば来秋には「和製ハーパー」は、自然とドラフト会議場を賑わせる存在になっていることだろう。

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