韓国、中国から続々来日。日本の独立リーグがアジアの野球少年を救う (3ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

 憧れのNPBの試合には、まだ足を運んだことがないという。シーズン中はなかなか時間が取れず、シーズンが終われば行きたいと考えている。当面の目標を聞くと、「とにかくより上のレベルでやりたい」と言い、最終目標はNPB入りすることだ。もちろん、中国の代表チームから声がかかれば、喜んでプレーするつもりだ。

 近年、中国のナショナルチームは活動を再び活性化させている。昨シーズンからチームごとアメリカ独立リーグのアメリカン・アソシエーションに参加し、テキサス・エアーホッグスとして戦っている。2021年のWBCに向けて、着々と強化を図っており、この舞台に立つことも劉の目標である。

「引退後は母国の野球に貢献したいと思っていますが、今はまだ上を目指してプレーしたいですね。5年、いや10年はやりたいです」

 6月12日現在、劉のBCリーグでの成績は、8試合に登板して0勝1敗、防御率11.81。10イニングで13四球と制球に苦しんでおり、きわどい球に手を出さないスモールベースボールの洗礼を浴びている。果たして、身長186センチの大型右腕の覚醒はあるのか。これからも注目していきたい。

昨年、武蔵ヒートベアーズに入団した金揆珹昨年、武蔵ヒートベアーズに入団した金揆珹韓国の高校を卒業後、単身来日した左のパワーヒッター

「目標はNPBです。やっぱりKBOよりレベルが上ですから」

 そう流暢な日本語で話すのは、武蔵HBの外野手・金揆珹(キム・キュソン)だ。落ち着いた雰囲気だが、朴訥な話しぶりからはまだあどけなさが残る。それもそのはず、金はまだ20歳になったばかりである。昨年、高卒ルーキーとして来日し、今年で2年目を迎える。

 もちろん、母国でのプロ経験はない。高校卒業後にプレー先を探していたところ、自身もBCリーグでプレーした経験のあるエージェントに、トライアウトを勧められた。

「韓国では学校を卒業したあとのプレー先がほとんどありません。社会人野球ができるという話はありますが、まだ実現していませんし、独立リーグもできたのですが、そこは給料がもらえる日本と違って、逆にお金を払って参加するんです。最初は日本の独立リーグのことをまったく知らず、ここからKBOを目指す韓国人選手もいるそうなので、チャレンジしてみました」

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