元プロのあの巨漢スラッガーが指導。
山村学園は埼玉4強を脅かす存在

  • 大友良行●文 text by Ohtomo Yoshiyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 山村学園は、県内の成績では矢作コーチが指導に加わった2015年秋にベスト8、2016年夏ベスト4、2018年秋ベスト4、そして今年の春が3位と急激に力をつけてきた。"埼玉4強"と言われている花咲徳栄、浦和学院、春日部共栄、聖望学園を脅かす存在になっている。

 県3位で臨んだこの春の関東大会でも、初戦の水戸商(茨城)は9回に平野裕亮の安打で6対5とサヨナラ勝ち。つづく2回戦は、今年春のセンバツ準優勝の習志野(千葉)に3投手へ16安打を浴びせて13対2で7回コールド勝ち。準々決勝でもセンバツ出場の国士舘(東京)に12安打10得点で勝利した。

 準決勝で東海大相模に敗れたが、岡野監督はたしかな手応えを得た。

「正直言って、できすぎです。初めて県外の強いチームと戦うことができたので、選手も私もいい経験になりました。とくに習志野、国士舘、東海大相模などの強豪チーム相手に臆せず戦えたことは大収穫でした」

 しかし山村学園には春に好結果を出すと、夏に勝てないという嫌なジンクスがある。岡野監督は言う。

「同じ失敗を繰り返さないためにも、もう一度、体を鍛え直し、6月いっぱいは苦しい練習を課して、新たな気持ちで夏に向かっていくつもりです」

 矢作コーチのことについては、次のように語る。

「矢作さんとの関係が深まるにつれてチームも強くなってきています。矢作さんの教え方は、第一に野球の楽しさを伝えようとしています。そこが一番大事なことかなと思います。選手たちが好きでやっている野球なのに、嫌いにしてしまう指導だけはしたくない。大会の時に、緊張しすぎて力を発揮できないのはかわいそうです。大会でもノビノビと、大好きな野球をいい環境でやらせてあげたい。そういうところを矢作さんから学んでいます」

 いかに選手たちを乗せて、楽しくプレーさせることができるか。普段の練習から楽しみながらも緊張感を持って取り組んでいけば「いつもどおりやろうぜ!」と試合に臨むことができると言う。

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