グラウンド内外でオーラ全開。西岡剛はBCリーグの価値を高めている (3ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

 翌日、このシーンについて小野瀬に尋ねると、照れ笑いを浮かべながらこう答えた。

「ちょうど前の日に西岡さんの動画を見ていたんです。それでどんなスタートを切るのか、塁上ではどこを見ているのか気になったんです」

 NPBの第一線を走ってきた男の技を少しでも盗もうと、フィールドでプレーする西岡の姿にくぎ付けだったようだ。

「去年の村田さんもそうでしたが、やっぱりNPBのトップでプレーされていた選手が独立リーグに来てくれるのは、選手にとって本当にいい刺激になります。僕はもう年齢的にNPBは苦しいと思いますが、現役でやっている以上、うまくなりたいと思っていますから......勉強させていただいています。ただ一緒のチームだと、ポジションがひとつ埋まってしまうわけで、そこは複雑な気持ちになるかもしれないですね」

 今年32歳になる小野瀬だが、塁上での極意を西岡に直接聞くのはまだ先だと言う。

「いや、いきなりはおそれ多いですから。あいさつ程度はしましたけど、まずは名前を覚えていただいてからですね」

 5月15日現在、西岡の打席成績はリーグ2位の4割1分1厘。ヒットメーカーとして圧倒的な存在感を見せつけていると言っていいだろう。なにより西岡の存在は、NPBを目指す若い選手たちにとって、自らのレベルを計る試金石になっている。

 そして地方のファンは、独立リーグがなければなかなか目にすることはできなかったであろう"本物のプレー"に野球の魅力を知る。また、西岡がプレーすることでBCリーグのレベルがどの程度のものかを知ることができる。実際、メジャーのスカウトも日本の独立リーグに足を運ぶようになっているという。

"西岡効果"は、確実に日本の独立リーグの存在価値を高めている。

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