グラウンド内外でオーラ全開。西岡剛はBCリーグの価値を高めている (2ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

 そして10連休真っ只中の5月2日、再び茨城アストロプラネッツと栃木GBの試合が行なわれた。ネギの名産地だという茨城県坂東市にある岩井球場には、独立リーグにしては大勢のファンが押し寄せ、数百人も入れば満席となる小さなスタンドは大入りとなっていた。

 ファンのお目当てが西岡であることは、彼の現在の背番号である「1」がプリントされた栃木GBのレプリカユニフォームだけではなく、昨年までプレーしていた阪神タイガース、さらに千葉ロッテマリーンズ時代のユニフォームを着たファンの姿からもわかる。

 この日、栃木GBはビジターゲームだったが、ホームゲームは毎試合、これ以上の観客でにぎわっていると言う。

 独立リーグは「会いに行けるプロ野球選手」を売りにしている。試合後には、ホームチームの全選手がスタンドの外に出て、来場したファンを見送る。選手たちはファンからのサインや写真撮影の要求に快く応じ、なじみのファンと談笑する姿は日常となっている。

 そういうシーンに西岡の姿があることをイメージすることは難しいが、NPB時代には考えられなかったファンサービスにも快くやってくれていると、ある球団スタッフは言う。

「ほかの選手とまったく同じ扱いですよ。住むところも、地元のアパートを借りて住んでいますし、ファンサービスにも積極的に参加してくれています。『遠慮せずにもっとなんでも言ってくれ』って自ら申し出てくれていますし。やっぱり独立リーグに来て、思うところがあったんじゃないでしょうか」

 この日の試合でも、西岡は格の違いを見せつけた。トップバッターとして第1打席で四球を選ぶと、3回の第2打席は無死一塁の場面で追い込まれながらセンター前ヒットを放ち、先制点のきっかけをつくった。さらに、5回に回ってきた第4打席でもセンター前にヒットを放ち2打点。集まった観客は西岡の活躍に大喜びだった。

 ヒットで出塁し、一塁ベース上に立つ西岡の姿を、ファウルグラウンドにあるブルペンにまで出て、じっと見つめる選手がいた。茨城アストロプラネッツの小野瀬将紀、独立9年目のベテランだ。この日まで、小野瀬は西岡と同じリーグ2位の5盗塁を記録していた。

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