山本昌のレジェンド解説。センバツで輝いた好投手8人+佐々木朗希 (9ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

日本のみならずメジャーからも注目を集める163キロ右腕、大船渡の佐々木朗希日本のみならずメジャーからも注目を集める163キロ右腕、大船渡の佐々木朗希【番外】佐々木朗希(大船渡/190cm・86kg/右投右打)

 最後にセンバツ出場投手ではないのですが、どうしても語りたい投手がいます。それはセンバツ大会後の国際大会対策研修合宿で、最速163キロを計測した佐々木朗希くんです。

 投げ方を見ていると、細かな課題は目につきます。でも、そんなことを吹き飛ばすくらい、圧倒的なボールを投げています。足を高く上げて反動をつけ、まるで鳥が羽ばたくように両腕を広げて体重移動をし、角度をつけて強く投げ下ろす。すべてがダイナミック、かつロスなくボールに力を伝えられている。大谷翔平(エンゼルス)の高校時代よりもすごい素材かもしれません。

 あえて課題を挙げるとすれば、まだ本当に厳しい環境で揉まれていないこと。大船渡は1984年春にセンバツベスト4に入った歴史のある高校ですが、甲子園からは遠ざかっています。フィールディングなど、細かな部分もこれから覚えることになるでしょう。とはいえ、これだけスケールの大きな投手はそう現れるものではありません。

 佐々木くんが163キロを計測したことで、世間の評価は「佐々木一色」になった感もありますが、私は奥川くんも甲乙つけがたいと考えています。もし私がスカウトなら、どちらを1位指名するか迷うでしょうね。現時点での完成度や投手としての計算の立ちやすさを考えれば、奥川くんの能力もすばらしいですから。

 2人ともお互いに刺激を受け合って、これからも我々に進化した姿を見せてもらいたいですね。

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