2019.04.22

再び甲子園で下剋上を。白山高校の
ハチャメチャぶりは今年も健在だ

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

春季大会1回戦の木本戦で好投した白山の2年生左腕・松葉立新 白山監督の東は試合前、「木本、メッチャ打つらしいんですよ……」と警戒心をあらわにしていた。部員は増えたといっても、甲子園をレギュラーとして経験したのは1番・サードの駒田流星のみ。昨秋の県大会は1回戦で鈴鹿に2対5で敗れており、チーム力のなさを痛感していた。

 だが、「打ち合いになると思った」という東の思惑とは裏腹に、試合は白熱した投手戦になった。白山先発の松葉立新(りゅうしん)は、120キロ台前半のストレートと緩いカーブで打たせて取る2年生左腕。なんの変哲もないように見えて、この投手には不思議なマウンド度胸がある。

 試合後、松葉に投球の出来を聞くと、「今日は悪くはなかったです」と答えた。では、よかったところは?と尋ねると、今度は「今日はいいところもなかったです」と返ってくる。

 その後もいくつか問いかけを重ねたが、手応えのある答えがまったく返ってこない。もちろん、ふざけているわけではないのだが、結果的にことごとく芯を外されてしまう感じ。おそらく木本の打者たちも、打席でそんな実感を抱いたのではないだろうか。

 昨秋11月の練習試合最終戦では、松葉は三重を代表する名門・三重高を相手に好投している。味方の守備の乱れがあって逆転サヨナラ負けを喫したものの、8回まで2失点に抑えた。松葉にとって「自信になりました」という大きな経験だった。

 松葉をリードする捕手の西籔開(にしやぶ・かい)も成長著しい2年生だ。監督の東は「緩いボールも使って、狙い通どおりカウントが取れるようになってきた」とリード面を評価している。西藪は仲のいい友人と進もうと考えていた志望校の受験に失敗し、白山に入学した選手である。昨夏の甲子園はアルプススタンドで応援していた。

「まさか甲子園なんて、考えてもみませんでした。甲子園は今でも夢は夢なんてすけど、決して不可能ではないんだなと思えました」

 そう言って、西籔は爽やかな笑顔を見せた。先輩たちの快挙は、後輩たちに確実に自信を植えつけている。