習志野の「必殺仕事人」角田勇斗。
兄の千本ノックが鍛えた超絶守備力

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 常に勝ち続けてきた経験から、角田はチームに勝利を呼び込む仕組みを肌感覚で理解しているのかもしれない。だからなのか、角田は不思議なくらい勝負どころで力を発揮する。

 星稜戦では、途中まで「休眠状態」だった。奥川の前に3打席連続三振を喫し、守備でも「絶対捕れる打球」を後ろに逸らし(記録は安打)失点につながっていた。

 打っても守っても思うようにいかない。だが、角田が意気消沈することはなかった。

「自分が落ちたらチームの士気が下がりますし、大事なのは勝利なので。『今日は仕方ない』とバッティングも守備も引きずらずに開き直りました。消極的になって、思い切りがなくなるのが一番よくないことなので」

 こんなプラス思考が結果的に勝負どころでの好プレーにつながり、チームに勝利をもたらした。

 習志野はエース・飯塚が好調を維持するものの、いまだ「サイン盗み疑惑」の余波はぬぐえず、中心選手の根本翔吾も死球を足に受けた影響で万全にはほど遠い。

 そんな逆境を跳ね返すためには、間違いなく攻守にラッキーボーイになっている角田の活躍は不可欠。準決勝以降も、なぜか勝負どころで回ってくる角田のプレーに注目してみてほしい。

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