二刀流ドラフト候補・菅田大介の挑戦「目指すはインフルエンサー」

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

『いつかできるから今日できる』

 こよなく愛する乃木坂46の曲のタイトルを投手用グラブに刻み込み、奈良学園大3年の菅田大介は険しい二刀流の道を日々歩んでいる。

投手の経験は浅いが最速146キロをマークするなど、高い能力を見せる菅田大介投手の経験は浅いが最速146キロをマークするなど、高い能力を見せる菅田大介 身長187センチ83キロという恵まれた体格で、50メートルを5秒8の速さで駆ける。京都共栄学園高校時代には通算20本塁打を放ち、育成枠でのドラフト指名も検討された。また、多くの大学からも声をかけてもらったが、最も熱意ある言葉をぶつけてくれた酒井真二監督が率いる奈良学園大を選んだ。

「酒井監督が観に来てくださって『1年生から頑張ってほしい。このチームと一緒に上を目指そう』と話してくださいました」

 1年春から出場機会を掴むと、春秋ともにリーグ戦で打率3割台後半を記録し、すぐさまチームの主力に。2年秋からは左腕が少ないチーム事情もあって投手としてもマウンドに上がるようになった。

 そして、昨春には全日本大学野球選手権初戦の立命館大戦で6回途中からマウンドへ。3回2/3を1失点に抑え、9回には1点差に迫るライト前タイムリーを放った。

 この活躍が侍ジャパン大学代表首脳陣の目に留まり、3日間の候補合宿にも二刀流で参加。とくに同学年の勝俣翔貴(国際武道大)とよく会話をし、意識の持ち方や取り組み方を学んだ。

「(勝俣は)野球のことばかり考えている印象だったので、そうしたことはやっぱり大事だと思いましたし、『力を抜いてスイングできるよ』と聞いてバットを太くしたり長くしたりしてみました」

 秋は投手として一塁ベースカバーに入った際に右足首を痛め、登板は2回2/3のみで、打率も3割に届かなかったが、今季からはエース兼主軸としてチームを引っ張る覚悟でシーズンに入った。
 
 3月6日の阪神二軍とのプロアマ交流戦では「3番・投手」で先発出場。異色の二刀流選手をひと目観ようと、阪神鳴尾浜球場に多くのファンとスカウトが詰めかけた。

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