2019.02.12

根鈴雄次が挑むフライボール革命。
「ヒットの延長が本塁打」にNO

  • 広尾晃●文・写真 text&photo by Hiroo Koh

 根鈴は独立リーグを退団後、請われて野球塾のコーチをしたのちに、2018年から横浜市内で「アラボーイベースボール根鈴道場」を主宰している。こちらも「野球塾」だが、教えるのはもっぱらバッティング。

「うちのコンセプトは"メジャーでホームランキングを出す"です。頼まれれば守備も投球も指導するけど、打撃に特化したいと思っています。もちろん、国内で活躍してプロを目指すのもいいけど、ぜひ海外にチャレンジしてほしい」

 分厚い体、精悍な表情。バット一本で世界を渡り歩いてきた男の面魂(つらだましい)だ。

 昨今、アメリカでは「フライボール革命」が起こり、打者がボールを大きな角度で打ち上げ始めた。その余波は日本にも及んでいる。

「柳田悠岐選手なんか、うまく打ってると思うけど、日本にはアンチが多いでしょ。角度をつけて打球を上げることに抵抗ある人が多い。そういうアプローチする人と、そうじゃない人ではやっぱり違ってきますよね。

 去年の日米野球で、ナ・リーグ新人王候補になったフアン・ソトは、東京ドームの天井に当てたけど、見逃すのかなと思った瞬間にスイングしていた。彼なんか、体重移動という概念がなくて打てる。頭が動かなくて、座って打っているみたいなものです。僕は道場でもポイントを深く深くというのはずっと言っているんですが、フィジカル面で違うのでなかなか難しいですね。でもスイングを体にしみこませてほしい。

 甲子園で高校生がホームランをたくさん打っているけど、あれは"フライボール革命"とは似て非なるものですね。泳いでいるのにスタンドインしている。高反発の金属バットでドーピングしているようなもので、ああいう打撃では大学やプロでは通用しない」

 根鈴は、高校野球でも低反発のバットを導入すべきだという。しかし、同時にそれは、ある種の懸念もある。

「日本の指導者に低反発バットを与えると、長打が出ないからと言ってまたセーフティだのゴロだの、下手すりゃ一死一、三塁でバントだのになってしまう。その低反発バットでホームランを狙ってほしいのにね。要はフィジカルとバットのバランスなんですね」