日大三、史上最高の好素材。井上広輝はバリバリのドラ1候補となるか (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 故障明けの2年夏は西東京大会不出場ながら、チームは甲子園に進出。状態が上向いた甲子園では2回戦の奈良大付(奈良)戦で先発。大事をとって3イニングながら、無安打無失点に抑えた。その試合で広輝は最速150キロを計測している。

 とはいえ、本人には「まだ本調子ではない」という実感があった。新チーム初の公式戦となる秋季東京都大会では、1回戦で伏兵の目白研心に5対7で敗退。広輝は途中リリーフとして登板して無失点ながら、爆発的な力を見せることはできなかった。

 201811月5日にダイワハウススタジアム八王子で行なわれた、東京都選抜(キューバ遠征)のセレクションに現れた広輝は「まだ全力で思い切り投げられていないので、今は8割くらいです」と自分の状態について語っていた。

 それでも、同じく最速140キロを超える谷幸之助(関東一)や187センチ長身右腕の渡邊充(工学院大付)ら好素材が投げ込むブルペンでも、頭ひとつ抜けた快速球を投げ込んでいた。

 ここまで金の卵を孵化させるために、大事に育成されてきた広輝だが、甲子園に出場するチャンスはあと一度しかない。チームのためにも、自分の将来のためにも、2019年は正念場の年になる。東京都選抜のセレクションが終わった後、広輝はこんな決意を語った。

「春までにどんどん球数を増やして、自分のピッチングができるようにしていきたいです。春、夏は完璧に抑えていきたいですね」

 チーム内には同じくドラフト候補で、最速148キロをマークする廣澤優や、やはり140キロを超える平野将伍という大型右腕もいる。とくに廣澤はスケールにかけては広輝をしのぐものを持っている。広輝とともに、春の公式戦でスカウト陣の目を引くに違いない。

 見る者をうっとりさせる、兄譲りのしなやかな腕の振り。はたして広輝は、この夏に甲子園で成長した姿を披露できるのだろうか。もし今夏の甲子園マウンドに広輝が立っているなら、その頃には「ドラフト1位候補」と呼ばれていても不思議ではない。

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