早大野球部新監督・小宮山悟の覚悟。「本気にならないヤツは使わない」 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

――小宮山さんが主将を務めていた30年前とは、選手の気質が大きく変わっていると思いますが。

小宮山 選手の気質が変化しているとしても「だから、なんだ?」という話。彼らに合わせるのではなく、彼らが早稲田大学の野球部に合わせるべきだと思っています。「早稲田大学の野球部はこういうところなんだ」ということを示してあげればいい。そこをきちんと理解したうえで、グラウンドに立ってほしいです。

――具体的にはどんな指導方針で臨むつもりですか?

小宮山 昔とは違って、部員全員が集まって練習できるのは日曜日だけですから、選手がグラウンドに揃わないという難しさはあります。こちらが求めるのは、「基本に忠実」ということ。できないことまでは要求しません。できることを確実にこなせるように普段から鍛錬してほしいですね。

 首根っこをつかんでやらせることが必要な選手にはそうしますが、基本的には自分で自分を律してほしい。そもそも、野球はチームスポーツではあるけれど、1対1の勝負の集合体なので、個人の力量差が際立ちます。だからこそ、他人に負けないことをしなければならないんです。

 チームの中で競争が存在しないようでは、他大学に勝てるはずがない。今はレギュラーとそうでない選手との差が開いてしまっているので、そこをなんとかしたいですね。チーム内の競争があれば、全体のレベルがどんどん上がっていくはず。ヘラヘラしながら野球をやっていては、強くなれるはずがありません。本当に楽しく野球をしたいのであれば、高い意識を持って取り組んでほしいです。

――100人以上の部員を束ねるうえで大切なことはなんでしょうか?

小宮山 「なんのために野球をするのか」について、選手ひとりひとりに温度差がありますから、全員を同じ方向に向けさせるのが監督の仕事です。また、個人的に大事だと思っているのは「OBの存在」。100年を超える歴史を誇る野球部の、OB会組織の一員であるOBがグラウンドに来て「早稲田の野球部を出たらこうだぞ」「大学4年間、練習に打ち込むことがその先で重要な意味を持つ」と学生に示してもらえたら、心持ちが変わるんじゃないかと思います。

 私自身も大学時代、監督だった石井連藏さんの教え子であるOBの方々から、いろいろなお話を聞かせていただき、ありがたかった。今の選手たちも同じような経験を積めば、野球部全体がいい形になるのではと考えています。

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