高校ではベンチ外も大学で開花。本塁打連発の男が一躍ドラフト候補へ

  • 永田遼太郎●文 Nagata Ryotaro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 この秋、関東地区大学野球選手権(横浜市長杯)から、とんでもない男が登場した。創価大学3年の山形堅心(やまがた・けんしん)である。

 1回戦の桐蔭横浜大学戦で左越えに豪快な一発を放った山形は、続く2回戦の国際武道大学戦、準決勝の上武大学戦でも続けてホームランを放ち3試合連続本塁打。

この秋の活躍で来年のドラフト候補に躍り出た創価大のスラッガー・山形堅心この秋の活躍で来年のドラフト候補に躍り出た創価大のスラッガー・山形堅心 そのなかでも国際武道大学のエース平川裕太から打った右中間に運ぶ本塁打は、引っ張りだけでなく逆方向にも強い打球が飛ばせる証にもなり、見ていた多くの者たちを驚嘆させた。

「あれはカットボールだと思うんですけど、真っすぐのキレがいいピッチャーだって聞いていたのでそのタイミングで打ちにいったら、タイミングが合ってくれて......あとは風にも乗ってくれた感じですね」

 大会中は4試合で15打数8安打を放ち、個人の大会最多安打記録も塗り替えた。さらに大会3本塁打は、第3回大会の平本哲大(上武大学)と並ぶ大会タイ記録。今大会の最優秀選手賞にも輝いた。

 こうして彗星の如く現れた今大会の山形だったが、高校時代は明徳義塾(高知)でレギュラーポジションを掴むことができず不遇なときを過ごした。

「高校時代も自主練習は欠かさずにずっとやっていたんですけど、競争が激しい高校だったので、なかなかチャンスが少なくて......。そのチャンスもずっと掴み切れずにいて、歯がゆい思いをしてきました」

 大阪府・東大阪シニア出身の山形は、明徳義塾・馬淵史郎監督の熱心な誘いに応えて、高知での寮生活を選んだ。

 高校1年秋の四国大会が終わった頃には4番キャッチャーで起用されることも少なくなかったが、大会前の練習で右手小指にボールを当てると、骨にヒビが入るケガを負い、しばらくは痛みもあってバットも握れない状態が続いたという。

 それでも、馬淵監督は「お前をメンバーから外すつもりはない。ファーストでどうや?」と言って、山形に強い期待をかけた。

 だが、その後の練習試合でも山形は思うような結果が残せない。結果、センバツは背番号12でベンチ入りとなり、定位置奪取とはならなかった。

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る