知名度よりも潜在能力。2018年ドラフトの本当の「隠し玉」はこの5人! (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 イメージは山崎康晃(DeNA)。セットアッパーなのか、クローザーなのかわからないが、いずれにしても"勝利の方程式"のひとりに抜擢し、実戦経験を積ませると、こちらの想像をはるかに超える貴重な戦力になれる人材と見ている。

 ドラフトでは、「2位以内」の指名でなければ社会人の強豪チームに進むことになっている。果たして、腹をくくれる球団があるのか注目したい。

 今年夏の甲子園で一躍注目の的となった金足農の吉田だが、昨年夏の秋田大会決勝でその吉田を破って甲子園に進んだのが明桜の山口航輝(投手/右投右打)だった。だが、私が評価しているのは、山口のバッティング。右打ちの高校生打者では、早稲田実業の野村大樹(捕手・内野手/右投右打)と並び、ナンバーワンの評価である。

 残念ながら、その決勝戦でヘッドスライディングした際に右肩を脱臼。この夏も全力投球できるまでには至らず、打者としての将来性に賭けることになった。

 強烈なスイングスピードと、バットを振れる体力。さらにその意欲。近い将来、プロでクリーンアップを打てる素材と見ている。

 最後に社会人から取っておきの内野手を紹介したい。三菱自動車岡崎の山野辺翔(内野手/右投右打)だ。桜美林大でセカンドを守っていた頃から、地味ながら「いい野球」をする選手だった。

 驚くのは"実戦力"だ。たとえば、ランナー一、二塁で遊撃手の弾いたボールを拾って三塁で刺す。打撃でも、追い込まれながら相手のベストボールであるスライダーに食らいつきライト前に運ぶ。またランナーでは、初球から完璧なスタートを切って悠々セーフ。

 今夏の都市対抗ではトヨタ自動車の"補強選手"として出場したが、堂々としたプレーを披露。すっかり社会人二塁手の"第一人者"へと上り詰めた。こういう選手を使えるチームは強い。

 1965年にドラフト制度が導入され、すでに50年以上の月日が経った。毎年のように"ドラマ"が生まれるドラフトだが、果たして今年はどんなシナリオが用意されているのだろうか。運命の日はまもなくやってくる。

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