10球団のスカウトが集結。金沢星稜大・泉圭輔は実績ナシでも逸材だ (3ページ目)

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

 活躍を遂げ、NPB球団のスカウトの評価も徐々に上がっていたが、当然ドラフトで指名されるという確約はない。それでも泉は進路を「プロ一本」に絞った。退路を断ってからの泉の練習に取り組む姿勢には、北川監督も目を細める。

「目標をしっかり持てていますよね。NPBに行きたいという気持ちがいい方向に出ていますね。僕は『社会人で鍛えてもらったらどうや』って言ったんですけど、本人が夢を追いたいということなので、彼の決断を尊重しました」

 チームの全体練習が短い分、学校内の施設でトレーニングに励んだり、持ち味である角度を生かすためにノア・シンダーガード(メッツ)の投球フォームの動画を見たり、探究心を持って取り組んでいるという。

 さらには、高校の先輩である谷内のプロで戦う姿にも刺激を受け、「厳しい世界であるとともに、それ以上に華やかな世界に感じています」と、運命の時まで1日1日と大切に過ごしている。泉は言う。

「10年、20年と活躍できる選手になっていきたいです」

 今はまだ"井の中の蛙"かもしれない。ただ大海に出たとしても、荒波に飲み込まれない柔らかさと強さが、泉にはある。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る