2018.09.03

金足農の「2ランスクイズ」を
メジャーリーガーが見るとどう思う?

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

■タイラー・フラワーズ(アトランタ・ブレーブス/捕手)

―― 2ランスクイズを見て、率直な感想を聞かせてください。

「すごいプレーだね! 満塁の場面で、こんなプレーを見たことはありません。いいアイデアだと思いますが、失敗したら一気にチャンスが潰れてしまう可能性がある。まず打者のバント技術を信用していなかったら無理です。相当アグレッシブなプレーですから、守備側は大変だったと思います。見たことも経験したこともなかったでしょうし、おそらく想像もしていなかったでしょうね」

―― メジャーであり得るプレーだと思いますか。

「あり得なくはないでしょうが、残念ながらアメリカの野球はバントを重視しているわけではありません。この高校生(金足農・斎藤璃玖選手)ほど上手にバントするためには、相当な練習が必要です。そして、走者が打者の技術を信頼していないとできないプレーです。そうした条件がすべて揃えば、メジャーでも可能なプレーだと思います。

 しかし守備側の目線で考えれば、非常に守りづらい。キャッチャーとしてできるのは、バントができない球を投げさせることぐらいですが、満塁ですのでフォアボールにもできない。本当に難しいプレーです。これをやったのは高校生ですか? 高校生がそこまで考えるのはすごい。すべての高校生がそこまで細かいことを考えているとは思いませんが、2ランスクイズをやったチームの選手たちは本当に頭がいいと思います」

―― アメリカでこのプレーは考えられますか。

「セカンドからどう生還するかよりも、バントを失敗したらどうなるかをまず考えるでしょうね。打ち上げたらどうするか、空振りしたらどうするか……など。アメリカではこうした大事な局面で、バントを成功させるよりも打つ方に信頼を寄せている。ヒットや犠牲フライで得点することを重視するはずです。もし同じ状況で、メジャーの監督がバントのサインを出して失敗でもしたら『お前は何を考えているんだ!』となるでしょう。監督にとっても勇気のいるサインだったと思います」

―― キャッチャーとして、満塁の場面でセカンド走者がバントでホームインすることを考えたことはありますか。

「考えたことなど、一度もありません。このプレーは、一回でも経験しないと対処できません」

―― 今後は2ランスクイズを想定しますか。

「ちょっとだけ頭の片隅に入れておきます(笑)」