5人のプロスカウトに直撃。「根尾昂は投手か、野手か、二刀流か?」 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 スカウトの言うスーパープレーとは、先述した7回の根尾の守備だ。

「パッと見た感じ、すごくダイナミックに見えるけど、彼は大股でしょ。内野手はいろんなバウンドのゴロをさばかないといけないので、細かいステップを踏めるようにならないと......。たまにファインプレーをするけど、ポカも多いタイプじゃないかな。プロでそういう内野手は、ピッチャーから嫌われるんですよ」

 一方で、投手出身のスカウトの意見も聞いてみたい。

「僕たちが高校生を見るとき、いつも"今"よりも"この先"を想像するんです。確かに、今の根尾は素晴らしいと思います。でも、ちょっと気になるのは、145キロを投げるフォームで145キロの球がくるタイプということです。そういうピッチャーって、プロのバッターは驚かない。要するに、怖さがないんです。そういう意味で、野手の方がすぐに試合で結果を残せると思います」

 もうひとりの投手出身のスカウトは、根尾の内面に注目する。

「ものすごく真っすぐな子じゃないかと思うんです。バッティングを見ていても、次はストレートだと思えば、なんの疑いもなく決然と振りにいく。そういう選手が、投手としてやったときに、バッターとの駆け引きに本気で興味を持てるのかなって......ちょっと心配ですね」

 そのスカウトが言うには、投手は「少々、ひねくれているヤツ」の方がいいと言う。

「要するに、投手というのはバッターをだますのが仕事ですから。あまり"一途"な性格だと、内面的にピッチャーになりきれるかどうかという不安があります。ずるさみたいなものを身につけられるかどうか......。僕だったら、やっぱり根尾くんは、野手としてあのフルスイングを、プロに入ってからも見たいですね」

 今回、ほとんどのスカウトが「野手・根尾昂」を推すが、ひとりの選手についてこれだけ語れるバリエーションがあるというのはすごいことだ。それだけ根尾の潜在能力が高いという証だろう。

 ただ、プロで"二刀流"を勧める声は、今回聞いたスカウトから誰ひとりとして発せられることはなかった。

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