1回戦負けの常連から甲子園出場へ。
白山高校は「数」で常識を覆す

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 4対3で菰野を破った白山は、その後も快進撃を続けた。大会序盤に優勝候補筆頭の三重やいなべ総合学園が、伏兵の松阪商に敗れる波乱があり、決勝ではその松阪商を8対2と圧倒した。東監督は「菰野を倒してあれよあれよといううちに優勝してしまった。甲子園には行きたかったですが、なぜ勝てたのか不思議なんです」と苦笑する。

 白山高校の選手たちは、白山に進みたくて進んできた選手は多くない。多くの選手は第一志望の高校受験に失敗し、「滑り止め」として白山に入学している。東監督はグラウンドで動き回る選手たちを眺めながら、うれしそうにこう言った。

「『ルーキーズ』なんて言われているみたいですけど、ヤンキーなんていますか? 素朴で自分に自信のない子どもたちの集まりですよ。3年間、一生懸命にやれば自分たちが落ちた高校でも倒すことができる。今は、こいつらも『白山に入ってよかった』と思っているんじゃないですかね」

 白山の初戦は11日の第4試合。西愛知の名門・愛工大名電と対戦する。山あいの小さな学校が起こした奇跡の物語は、どこまで続くのだろうか。

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