16奪三振の快刀乱麻。創志学園・西純矢の投球に気づかされた変化球の真髄 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ただ最近のピッチャーを見ていると、変化球を投げるときに「曲げなきゃいけない!」と意気込みすぎているように思えてならない。

「曲げなきゃ」と思えば、腕の振りが緩み、腕を振る角度も変わってしまう。そうなると、曲がり始めるのが早くなって、その分、変化の幅が大きくなり、打者に見極められてしまう。

 本物の"変化球"とは、一見ストレートのように見えて、打者が「よし!」とスイングを始めた瞬間にヒラリと軌道を変えていく。そういう"飛び道具"のことをいうのだ。

 奪った三振の8割ほどがタテのスライダーという変化球勝負だったのに、ピッチングに弱気な印象がまったくなく、強豪校相手に勇敢に立ち向かっていった記憶しか残っていない。

 西の快投から、変化球という存在の本当の"定義"と"あり方"を教わったような気がした。

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