2019年のドラフトで争奪戦必至か。都市対抗で躍動した高卒2年目の逸材たち (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 都市対抗では3試合にリリーフ登板して、3回2/3を投げて無安打、6奪三振、1四死球、無失点。新日鐵住金鹿島戦ではピンチの場面で登板し、5者連続奪三振の離れ業を見せた。

 JR東日本の正捕手を務める今秋ドラフト候補の渡辺和哉は、太田と西田についてこう語る。

「太田のボールの強さは、ちょっと他のピッチャーにはないものです。西田は気持ちが強いので大舞台になればなるほどいい球がきますね」

 西田に太田に対する思いを聞いてみたが、「ライバル」というよりも「仲間」という感覚が近いという。

「高卒2年目の同期は他にも山口(裕次郎)と糸野(雄星)がいるんですけど、太田以外は関西出身なんです。だから鹿児島にまつわることで太田をイジることもあったんですけど、最近は太田もイジり返してきますね(笑)」

 山口は履正社高時代に日本ハムからのドラフト指名を受けながら、拒否してJR東日本に入社した。現在は状態を崩しているとはいえ、将来有望なサウスポーだ。糸野は茨城の明秀学園日立高出身(和歌山県出身)で、高校時代から強打の内野手として注目されていた。レギュラーこそつかめていないものの、やはり期待は高い。高卒2年目の逸材が切磋琢磨することが、JR東日本の躍進を後押しするのは間違いないだろう。

 高卒2年目の投手が輝いたのはJR東日本だけではない。大会の開幕戦でNTT東日本に敗れたものの、東邦ガスのリリーフで登板した右腕・立野和明はイキのいい快速球を見せた。立野は東海理化からの補強選手。中部大一高時代から愛知県内では有望選手として名が通っていたが、全国的には無名だった。

 身長180センチ、体重78キロの均整の取れた体型に、バランスのいいしなやかな投球フォーム。都市対抗マウンドでは、ストレートとカットボールの速い球速帯で押す投球を披露した。ストレートは打者に向かって加速していくような好球質で、日本代表経験もある上田祐介から見逃し三振を奪った145キロは、空気を切り裂くように内角低めに決まった。

「最速は148キロか149キロですが、球速よりもキレにこだわっています。上田さんから三振を取ったボールは、今日のベストボールでした」

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