2018.07.27

「今日もアカン」で橋戸賞。
走攻守+強気なドラフト候補はモノが違う

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

「3年秋は足を痛めて、4年の春と秋は右腕の骨折。それもヒジ側と手首側の別の場所を折りました。呪われているのかと思っていました(笑)」

 大阪ガスに内定したのは3年春のリーグ後だったため、近本は「ケガする前でよかったです」と笑う。だが、当時の監督だった竹村誠副部長は「こいつはモノが違う」と採用を即決したという。

「外野を守っている立ち姿、駆け抜ける姿、高い技術でボールを捉える姿。すべてにおいて余裕をもってプレーしている。この子は普通のレベルではないと、ひと目で確信を持ちました」

 竹村副部長が近本を高く買う理由はプレー面だけではなかった。近本の野球に対する姿勢、根気強さにも一目置いている。

「近本は淡路島出身なのですが、寮のない関西学院大まで自宅から通っていたんです。毎日、船と電車を乗り継いで、しかも道中でジムに通ってトレーニングしていた。継続して努力のできる子です」

 課題を探すとすればスローイングの弱さだろう。大学時代に肩・ヒジを痛めた影響もあり、本人に言わせると「全盛期が100だとすれば今は20くらい」という。だが、コンパクトなスロー動作と正確なコントロールで「苦手意識はありません」と断言する。

 今秋ドラフトで外野手の注目選手といえば、立命館大の辰己涼介が挙がる。近本にとって、辰己は社高時代の2学年後輩にあたる。

「辰己は入部した頃から肩が強くて足も速かったですが、体は小さいし今の片鱗はありませんでした。今は力がついて、本当にすごい選手になりましたね。人間的に何を考えているかわからない、独特なところもありますし(笑)。あいつはプロに行かなきゃいけない人間ですよ」

 プロに行かなきゃいけない人間――。それは自分も同じではないのかと尋ねると、近本は苦笑いを浮かべて「いやいや、僕はまだまだです」と謙遜した。

 高い次元で打って、走って、守れる。もちろん、そんな外野手が放っておかれることはないだろう。

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