「限りある野球人生に後押しを」松坂愛用のグラブに込められる思い (4ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Kyodo News

 先発を務めたオールスター第1戦でもRYUのグラブを使用した松坂。シーズンで使用しているものとは異なる、赤のオールスター仕様のグラブには、開催地である「大阪」の文字が刺繍されていた。登板はなかったが、第2戦用のグラブは、黒と赤の「くまモン」カラーで、こちらにも開催地の「熊本」と刺繍が施されていた。河合が理由を語る。

「『オールスターの開催地の方々に、より野球に親しんでほしい』という気持ちを込めて制作しました。それぞれの土地で、野球が末永く楽しまれる存在になってくれれば、これ以上の喜びはありません」

 開幕前、松坂の復活には否定的な意見が多かった。「終わった選手」、「一軍で勝てるわけがない」といった辛辣(しんらつ)な意見も散見された。それでも、復活を遂げることができたのは、自分自身の可能性を信じ、前を向き続けたからに他ならない。

 岐阜羽島から始まる「日本一のグラブメーカー」への挑戦。"平成の怪物"の左手に宿った龍の力を誰よりも信じているふたりは、迷うことなく前に進み続ける。

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