松坂大輔使用で話題のグラブ。「龍」がもたらすフィット感のこだわり (2ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Kyodo News

 その様子を見たファンから、「あのグラブは、どこのものだ?」という声がインターネットを中心に沸き上がった。現在、唯一RYUを取り扱っている、岐阜県羽島市のスポーツ店「ますかスポーツ」代表取締役の五十住友昭(いそずみ・ともあき)も、この大会をきっかけにRYUに興味を抱いたひとりだ。

「センバツで使っていたものとは違う、見慣れないラベルがついているグラブで、『どこのメーカーだろう』と気になったんです。髙橋選手が地元・岐阜の選手だったこともあり、すぐに友人伝いで確認しました。そうしたら、『岐阜出身の若いグラブ職人が、個人で作っている』ということがわかったんですよ」

 すぐに友人を介し、当時はまだ会社勤めをしていた河合と連絡を取り、サンプルグラブの制作を依頼した。そして、手元に届いたグラブに手を通したとき、思わず驚嘆(きょうたん)したという。

「グラブをはめたとき、思わず『すげーな!コレ!』と叫んでしまった。いいグラブの条件のひとつとして"フィット感"がありますが、RYUのグラブは高いレベルでそれをクリアしていました。グラブの『ここで捕球したい』という位置と、自分の手の平がバチッと合うんです」

 家業であるスポーツ店を継ぐ前は、大手スポーツメーカーに勤めていた五十住。勤務した3年間は、ほぼ毎日グラブに触れていた。そのなかにはプロ選手に支給されるグラブもあったが、それらと比較しても「遜色ないレベル」と感じたという。

「グラブ全体のバランスや、組み上げの"縫い"もプロを担当する職人やベテランの職人と遜色ない。一度手に取ってもらえば、ユーザーも必ずこのよさをわかってくれると確信しましたし、限りある時間のなかで野球に打ち込んでいる学生野球、特に高校野球の選手たちに使ってほしいと強く思いました」

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