2018.07.18

甲子園常連の強豪校が次々に敗退。
「番狂わせ」はなぜ起こるのか?

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

 理由はさまざまだが、以前、こんな場面に遭遇したことがあった。

 誰もが知っている強豪校が、甲子園をかけた地方大会の1回戦で、部員12人のどう見ても普通の公立校と対戦した。初回、強豪校が無死一、二塁のチャンスをつくった。定石どおり、送りバントかと思ったら、なんと”ヒットエンドラン”を仕掛けてきた。打球は強烈なライナーでサードへ飛んだが、これを三塁手が好捕し、まさかの”三重殺”となった。

 強豪校にとってはそれが不運の始まりだった。打つ手、打つ手がすべて裏目となり、守っては失策が続き、投手もストライクが入らない。

 逆に公立校は、もらったチャンスをきちんと得点につなげ、あろうことか5回コールドで強豪校を破ってしまったのだ。

 野球は”流れ”のスポーツである。いくつもの”流れ”の法則のようなものがあって、それに逆らった試合運びをすると、流れは相手チームに移ってしまう。この試合も、まさに”流れ”だった。

 初回の攻撃で1点でも入っていたら、試合の展開は変わっていただろうし、スコアが逆になっていても不思議ではない。格上チームが相手に対し、明らかに見くびったような作戦に出ると、劇的に流れは変わる。この試合はまさに、その典型的な試合だった。

 そして、強豪校やセンバツ出場校にとって、夏の地方大会、とりわけ大会序盤は”疲労”との戦いがある。

 春先から、毎週土・日になれば3~4試合をこなし、しかもその相手はほとんどが”強豪校”である。それだけでも疲労度は増すのに、地方への遠征や招待試合も多く、移動も大きな負担になる。日曜日の夜中に学校に戻ってくるチームも少なくなく、慢性的な睡眠不足になっている球児もいると聞く。

 当然ながら平日は練習である。しっかり体を休めることができず、ケガを抱えたままプレーしている選手も多い。コンディションのめぐり合わせも、一発勝負のトーナメントでは、大きく関わってくるのだ。