清宮を全直球で空振り三振。「遠回り」独立リーガーの潜在能力がすごい (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 さらに、鎌田の投球フォームにも打ちづらい要素が詰まっている。ワインドアップから力感があまりない体重移動なのに、ボールは打者に近づくにつれ勢いを増してくる。鎌田に聞くと「左足を(地面に)着くのをギリギリまで我慢している」という。

 ただでさえ打ちにくいフォーム、球筋のストレートは、6月10日の台湾社会人チームとの試合で155キロを計測するまでになった。試合会場の徳島・JAアグリあなんスタジアムのスピードガンは数字が出やすいと言われているが、それを差し引いても鎌田のストレートがNPBを十分に意識できるレベルにあることは間違いない。

 しかし、日本ハムとの交流試合では課題も露呈した。2イニング目には先頭の高濱祐仁、渡邉諒と2者連続のホームランを浴びた。渡邉の本塁打はこの日、鎌ケ谷スタジアムのライト方向に吹き荒れた強風に乗った感が強かったにせよ、高濱の一打はレフト方向へ完璧に捉えられたもの。鎌田は反省の弁を口にした。

「カウント2――2から三振を取りにいったフォークがすっぽ抜けて3ボールになって、もう真っすぐしかない......という球を読まれてしまいました」

 最後の対戦打者となった難波侑平から140キロのフォークで空振り三振を奪ったように、鎌田にはスプリットのように高速で沈むフォークがある。この球種の精度が高まれば、さらにNPBへの道は近づくだろう。日本ハムとの交流試合は2イニングを投げ、2安打(2本塁打)、4奪三振、2失点という結果だった。

 鎌田には「あの努力と結果が結びつかなかった悔しさがあるから、今があります」と語るような、雌伏の時期がある。

 本来であれば、鎌田には千葉・横芝敬愛高を卒業後、すぐに徳島インディゴソックスに入団する道もあった。高校3年の11月、高知県で開催された四国アイランドリーグのトライアウトリーグに参加。140キロ台の速球を武器に9回12奪三振と大いにアピールし、徳島と入団交渉することになっていた。

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