2度目の春夏連覇へ。大阪桐蔭の名将は考えぬいた最高の準備をしていた! (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

 7月頭には大阪で東海大相模と、西谷監督曰く「最高の練習試合」を行なった。近年、大阪と神奈川を行き来し、夏の大会前の定期戦のようになっているが、ただ腕試しをするのではなく、同級生でもある東海大相模の門馬敬治監督との意見交換も貴重な時間となっている。

「お互いのチームが相手からどう見えているのか。この感想を正直に伝えて、その意見を参考にします。たとえば、2人の投手を登板させ、どちらが嫌だったかとか、あの場面での攻めはどう感じかとか......。普段の練習試合では聞けないような細かいところまで聞けますから。

3校での変則ダブルではなく、同じチームと2試合やることでお互いの特徴もよくわかりますし、相手に伝えられることも多くなる。それに門ちゃん(門馬監督)としっかり話ができるのも1年でここぐらいですし、僕にとっては大きな意味のある練習試合でした」

この2日後には「普段ならこの時期にやることは絶対にない」という近大附との練習試合も実施。大阪大会が南北に分かれるからこそ実現した一戦で、大阪を代表する左腕・大石晨慈(しんじ)と対戦。

 中身の濃い実戦経験を積みながら、一方で例年6月から約1カ月、過去最長でも5週間だった強化練習を、今年は6週間に延ばし、この夏を乗り切る体力とメンタルを徹底的に鍛え込んだ。

 さらに、センバツ以降はチーム内の競争も激化。春の大阪大会では、センバツ優勝メンバー18人中9人が入れ替わった。また、春の大会後には1年生右腕・仲三河優太がデビュー。先の香川での招待試合で3回を無安打、6奪三振と圧巻のピッチングを披露し、夏のベンチ入りを果たした。

 ベンチ入りを決める作業は、監督にとってもっともツライ仕事と言われている。しかし、西谷監督にこの件について聞くと、「メンバーから外れた選手、特に3年生に対しても『残念やったな』という気持ちはまったくありません」と言い、こう続けた。

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