2度目の春夏連覇へ。大阪桐蔭の名将は考えぬいた最高の準備をしていた! (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

 西谷監督の頭の中には、センバツが終わり夏までの戦いを考えたとき、「大学生と試合がしたい」という希望があった。しかも全国的にレベルが高く、(大阪桐蔭の)選手たちが特別感を感じる関東のチームが理想だった。そこで同じ歳で親交のあった古城隆利が監督を務める日体大に打診し、快諾を得た。

 5月26日に近畿大会初戦を戦い、試合後すぐにバスで片道8時間をかけ移動し、日体大の施設に宿泊。翌日、2試合(連勝)を戦い、またバスで大阪へと戻った。これだけハードなスケジュールにもかかわらず、大学生相手に試合した意図を西谷監督は次のように語る。

「まず力のある大学生と戦うことで、チームに向かっていく感覚を呼び起こさせたかった。センバツで優勝したこともあり、(高校生の)相手チームはチャレンジャー精神でぶつかってくるのに対し、ウチは受身ではないですが、向かっていく気持ちが少し薄れていた感じがありました」

 さらに、技術面でもプラスになることがあった。

「こっちは金属バットを使っていたこともあって結果的に2連勝しましたが、力は大学生の方が断然上。春以降、チームの目標として走塁のレベルアップをテーマに取り組んでいましたが、まだまだレベルの低さを痛感させられました。

 投手に関しても、高校生相手なら追い込んだ後に投げれば間違いなく振ってくれる外のスライダーをきっちり見きわめられたり、夏へ向かうなかで本当にいい経験をさせてもらいました」

 翌週には近畿大会の準決勝(智弁学園)、決勝(智弁和歌山)に勝利し優勝。その後も愛知、香川で招待試合を戦った。

「招待試合は土日で2試合ずつ計4試合を2回。ウチは普段、土曜日に練習試合をすることが少なく、土日で4試合とハードな日程のなか、愛知では東邦、桜丘、中京大中京、愛産大三河、香川では春の香川県大会1位から3位のチームと好投手のいる英明と対戦。どのチームも力があり、ここでも夏につながる中身の濃い経験ができました」(西谷監督)

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