下半身に特徴。名スカウトが
大学選手権で光った10投手を査定

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

全国的には無名だが小島氏が絶賛した中京大の山本一輝全国的には無名だが小島氏が絶賛した中京大の山本一輝山本一輝(中京大2年/180cm・81kg/左投左打)

 大学選手権で全国デビューした無名の投手だそうですが、素晴らしい素材ですね。まだ総合力は低くても、左投手でこれだけ投げられるなら十分ドラフト上位候補です。ストレートの球持ちがいいので、140キロ前後のスピードでも打者がことごとく差し込まれる。つまり「速く見える」ということ。

 1球1球ごとのバランスはバラバラですし、変化球で腕が緩むなど課題は多いですが、すべて修正可能でしょう。あとは本人が自分自身の可能性に気づいているかどうか。欲をいえばもう少ししなやかさが出てくれば、文句なしのドラフト1位候補になるはずです。

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 実は、今回は10投手以外にもチェックさせてもらったのですが、私が「これは!」と感じた投手を中心に10投手に絞って紹介させてもらいました。

 見た中で素晴らしいポテンシャルを感じたのは山上投手(立命館大)と山本投手(中京大)の2人。とくに山上投手は面白いです。まだ体もできていませんし、体重移動の時間をあと0.1秒でも長くとって投球に間を作れれば、もっと打者のタイミングを外せるはずです。

 そして全体を通して気になったのは、下半身が太い投手が目についたことです。決して悪いことではありません。メリットとしては、「強い」、「安定感があるように見える」。デメリットは「重い」、「疲労がくる」といったことがいえるでしょう。

 重いものを100回上げるのと、軽いものを100回上げるのでは、疲労度はまるで違います。体が重い投手は、球数を投げれば投げるほど、体のブレが大きくなってしまいます。20年前までは下半身のウエイトトレーニングを積んで太くすることが当たり前でしたが、今はMLBでも「投手はウエイトをやらなくていいよ」と言われる時代です。

 もちろん、人それぞれいろんな考え方があっていいと思います。ただ、私としては「下半身を太くする」風潮に違和感を覚えているので、お伝えしました。

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