「南神奈川」から甲子園へ初出場なるか。
あの新興勢力がパワーアップ

  • 大友良行●文・写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

「学校名や厚木の地名などをあえて使わなかったのは、地元の人たちはもちろん、神奈川県内の少年野球の子どもたちが抵抗なく使用できるようにしたためです。野球以外のスポーツでも自由に使ってほしいですし、音楽などのイベントでも構いません。にぎやかになれば、それが地元の活性化にもつながると思います。

 大磯にある学校からはマイクロバスで50分ほどかかりますが、行き帰りに車内でミーティングもできますし、贅沢は言っていられません。なにしろ今まではテニスコートが中心でしたから......フォームの修正や捕球姿勢、送球姿勢のチェックがほとんどでした。狭いところでやることで欠点は見つけやすかったですが、やっぱり広いところで、しかも土の上で思いきり野球をさせてあげたかった。彼らの大きな成長につながると確信しています」

 そう語るのは、星槎国際湘南の土屋恵三郎監督だ。

 土屋監督は前任の桐蔭学園で32年間指揮を執り、春夏通算10回の甲子園出場を果たした名将として知られる。2015年の1月に星槎国際湘南の監督に就任すると、2016年秋に県のベスト8、2017年春にはベスト4に進出して、夏の大会の第1シードを獲得。その夏の大会は5回戦で日大高に4-9で敗れたが、瞬く間に神奈川の強豪校へと押し上げた。

 今年の春季大会は守備力の弱さを露呈して、3回戦で公立校の金沢に3-4と惜敗。それでも土屋監督は前向きに語る。

「グラウンドができあがったので、本格的に守備力の強化ができます。夏の戦いは、守りの時間を短くして、いかに攻撃の時間を長くするかがカギになる。70名ほどの部員全員を動かし、下からも引き上げる。神奈川は屈指の激戦地なので簡単に勝てないことは知っていますが、可能性はあると思う。あとはチームワークです」

 昨年はドラフト3位でオリックスに指名された本田仁海(ひとみ)という絶対的エースを擁したが、「いくらいい投手でも、夏はひとりでは無理」(土屋監督)と、今夏は継投策で挑むつもりだ。

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