2018.05.20

あの明徳スターが「もう野球は
絶対やらない」からプロ再挑戦に至るまで

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • 山田次郎●写真 photo by Yamada Jiro

 そして、昨年11月に開催されたトライアウトで特別合格を勝ち取り、リーグ内のドラフトで徳島へ。独立リーグに挑戦する大きなきっかけを与えてくれた南球団社長のもとでプレーすることが決まった。

 登録上は投手だが、現在は主に「1番・一塁」で試合出場を重ねている。打順、ポジションともに、あまりこれまでの岸の印象にないものだ。

「1番は少年野球時代に少し、一塁は高校時代に数回やった程度です。打つ方は試合を重ねるなかで、試合勘が戻りつつありますし、1番といえども初回以降は走者を置いた場面で回ることもある。そういった場面では高校時代に中軸を打った経験が生かせるんじゃないかなと。ヒジの状態もあって守備は一塁を守らせてもらっていますが、送球を投げるときも特に問題はありません」

 出塁することが求められる1番打者。打線のなかでの役割を考える上でも明徳義塾での学びが生きているという。

「単純に『打率を上げよう』とだけ考えると、すぐに頭打ちになってしまう。けれども『出塁率を上げよう』という目標に変えると、色々な選択肢が出てくる。粘ってフォアボールを奪う、守備のシフトを観察してセーフティバントを狙ってみる......。やれることは無数にあります。こういった『勝つために何をやるべきか』という考え方は明徳で学んだもの。本当にいい野球を教えていただいたと思っています」

 大学を中退しての独立リーグ挑戦のため、規定上、今秋のドラフトでは指名対象外となる。NPBに進めるのは最短でも2年後。あくまで現状の"予定"ではあるが、この2年間のなかで、ヒジの状態を見ながら登録通り投手として出場する可能性もある。

「今は一塁の守備を極めることしか考えていませんが、ヒジの状態が上がってくれば、外野などの他のポジションに移って、成績を見ながら投手再転向も考えよう、という話を首脳陣としています。ただ、自分としては『必ず投手に!』という気持ちはなく、投手、野手どちらでプレーしたほうがNPBに近いか、といった視点で考えたい。ずは野手として試合に出続けること、結果を残すことが重要だと思っています」