「サニブラウンに勝った男」は2年後のドラフトに向けて出塁率を磨く (2ページ目)

  • 松本英資●文 text by Matsumoto Hidesuke
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 171センチ65キロの五十幡は、野球選手として小兵の部類に属す。あるプロ球団のスカウトは「2年後にプロ入りを目指す五十幡にとって、最大の課題は打撃です」と語。昨シーズン、五十幡のリーグ戦の通算成績は52打数15安打、打率.288。数字だけ見ると、決して悪いものではない。しかし、五十幡は物足りなさを感じていた。

「各大学のエース級が投げるストレートの威力や鋭く曲がる変化球を目の当たりにして、圧倒されました。(自分は)狙い球もポイントもバラバラ。もっと絞って、ボールを強く叩くバッティングをイメージしてバットを振るように心掛けています。ボールを絞れるようになれば選球眼はよくなると思いますし、四球も増える。そうなれば課題にしている出塁率のアップにもつながるはずです」

 現在、五十幡の塁間走(27.43m)は3.6秒。プロのトップレベルの目安が3.7秒と言われているから、すでに一流選手の脚力は持っている。だが、足が速いだけで盗塁はできない。相手バッテリーとの駆け引きが成否をける。

「盗塁する際、ボールカウントによってスタートの力の入れ加減を変えなくてはなりません。力を抜いた状態のままスタートできるケースもあれば、スタートの瞬間から全力で走るケースもあります。その都度、状況に応じて走るスピードに変化をつけないと、相手バッテリーに気づかれてしまう」

 セールスポイントであるはずの盗塁にも修正すべき課題が多いという。一例を挙げると、スタートを切るときの姿勢が若干、前かがみになるクセがある。その姿勢を無意識に繰り返していたため、相手バッテリーに見抜かれて、失敗することも多かったと話す。

「まだクセを完全に修正できていませんが、片方の足にどの程度の割合で重心を置いたらいいのかを考えてやっています。右足に重心を置いたり、ときには左足に置いたり......。試行錯誤の結果、最近ようやく自分に合った立ち方を習得してきたように思います」

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